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猫おばさん

十条猫物語

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猫おばさんの写真
夢中になって猫に餌をあげるおばさんを「猫おばさん」と呼んでいる。

「私が餌をあげないとあの子たちはどうなっちゃうのよ」と言いながら、せっせと毎日餌をあげにやって来る。

当然のことながらそれを良しとしない人達とぶつかる。
「もう卒業したら?」と柔らかく注意する人もいれば、「顔覚えたぞ!覚悟しろ!」、「今度見たら許さないからね!」と本気で脅かす人もいたそうだ。猫おばさんはそんな時暫く沈み込んでいるが、又餌をあげ始める。

猫おばさんは、我が店の外に有る棚の下にもよく餌を置いて行く。
皿に餌を乗せて置いて行く時は皿ごと片づければ良いが、地面にそのままドロドロした餌を置かれると後で臭うし、掃除もしんどい。
ある日、その猫の餌を狙って浮浪者のおばあさんが店の前を陣取り、お客さんが入って来なくなると言う何とも悲しい現実に直面した時に、猫おばさんに「あなたがあげなくても誰かがあげるだろうし、猫もたくましく何とかして生きて行くから」と注意した。

そして暫くして、猫おばさんは事情が有って実家の有る茨城県に引っ越して行った。
同時にもう一人夜中猫に餌をあげに来ているおじさんが、誰かにしこたま注意をされて餌をあげに来れなくなった。

すると野良猫達に異変が起きた。

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突然うちの店の前に沢山集まるようになり、戸を開けると一斉に大きな声で鳴き出す。

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私には「助けて!このままじゃあ死んじゃうよ!誰も餌をくれないんだよ~!」と聞こえる。

驚いた事に猫おばさんは2週間に1度、茨城県からわざわざ高い電車賃を払って猫に餌をあげに食る。
「茨城には野良猫いないの?」と聞くと「みんなちゃんと家で飼ってあげてて野良はいない。心配なのはこの子達だけ。」
この町は遅れていると思った。何年も「猫に餌をあげるな」と言いながら去勢、避妊をしようと立ち上がる人はいない。去勢、避妊はこの猫おばさんが言いだし、今やっと猫を心配する人達が動いて2匹の猫が去勢、避妊されて
「地域猫」となった。里親探しも行っている。他所の商店街ではとっくにやっている所が多い。

※地域猫(ちいきねこ)とは、野良猫が住みつく場所で、地域住民の認知と合意の上で共同管理されている猫の通称である。 増え過ぎてしまった野良猫の数を抑制し、住民やボランティア等が共同管理することで、猫が起こす様々な問題に対応していく活動である。

猫が好きな人と嫌いな人が対立しても問題は解決しません。

地域環境を良くするために、できるだけ多くの立場の関係者がともに考えていくことが大切。


小さな命を本気で心配する綺麗な心の持ち主、猫おばさんを見ると心がホッとする。



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